宝石・鉱物の内部のインクルージョン。
顕微鏡やルーペで観ていると、それはそれは見事で。
科学の理の塊のような。
まさに小宇宙ような気がしてきます。
モス・アゲートです。
基本的に、クォーツ、特に無色透明のクォーツをロック・クリスタル(水晶)と言ったりしますが、特にクォーツの内部で観られる内包物はバリエーション豊かです。
このモス・アゲートもその一つです。
アゲートというと瑪瑙ですが、ロック・クリスタルがクォーツ単結晶に分類されるなら、瑪瑙はクォーツ多結晶です。
成分的には同じクォーツですが、結晶構造が少し異なるため鉱物学的反応も少し変わってきます。
なので、これも実はモス・アゲートというより、緑色鉱物を含んだロック・クリスタルというべきですが、モス・アゲートは一般にモス(苔)のように見える緑色の鉱物を含んだものを大雑把にそういうので、これもモス・アゲートにしています。
もっと広い意味で言うと、ガーデン・クォーツとも言えます。
これもあんまりしっかりとした決まりがなくて、クォーツ内部で正体のわからない(あるいはわかっていても)何かしらの鉱物を含むクォーツで、特になんとなく庭のような、植物のような雰囲気のものを言います。
わかりづらいですね…
宝石名は人によってどこに位置づけるか、なんて呼ぶかが変わる可能性のがあるので、曖昧です。
ただし、ルビーやパパラチアのように、同じサファイア(コランダム)であっても鑑別書やソーティングなどで、色により厳密に明確にされる宝石名もあるので注意が必要です。
とまぁ何が言いたいかと言うと…
インクルージョンで見てて飽きないよねってことです!
カテゴリー: gemstone 宝石
修理して使おう
彫金や宝石鑑別に限らず、専門的な工具や道具というのは、数十年前に生産販売されていて良品なのに現在では生産終了&在庫なしということが結構あります。
グレードアップして製造販売されているものもありますが、その場合めちゃくちゃ高額で自分などの弱小事業者には手が届きません。
しかし、欲しい。
あったらすごく助かるし、役立つし、活用するし!
そんな時は中古品・ジャンク品を探したりします。
もちろんなかなか良い出物はないのですが、辛抱強く待っていると、これなら買えそう!とか、ジャンクで要修理でもこれなら修理できそう!という品物に巡り会えたりもします。
今回ゲットしたのはハロゲンのファイバー光。
宝石鑑別に使います。
ペンライトでは光量不足でなかなか正確に観察できないものでも、ファイバー光の強光量の前では赤子にも等しい…というくらい楽々観察できちゃいます。
今回はファンのベアリング交換だけで行けました。
ベアリングも安めのやつを購入したので、500円くらいで修理できました。
ジャンク修理して普通に使えるようになると、新品購入した時とはまた別の幸せ気分になります…(^^)
キャッツ・アイとスター
石には、ライトを当てると特別な光り方をするものがあります。
当てなくても、陽の光だけで確認できるスペックの高いものもありますが、ライトを当てるとより顕著になるので是非当てていただきたい。
キャッツ・アイ効果とスター効果、これ二つが有名ですよね!
正確には、前者をシャトヤンシー、後者をアステリズムと言います。
この石だけにしか見られない!という特別なものではないのですが、比較的見られやすい、あるいは稀に見られる、あんまり見られないなどの程度はあります。
両者とも、ある鉱物学的、科学的な条件が整えば見られるからです。
というか、石に限らず、実は誰しもが持っているもので実現するものなのです。
仕組みは簡単。
髪の毛。
よく天使の輪、なんて言ったりすると思います。
あれは特にブラッシングしたストレートの髪の方が頭部の上の方で、髪の繊維方向に直角に、光の筋がぐるっと1周する、それを天使の輪とか言いますよね。
あれです。
髪の毛にも研磨された石にも光沢、艶があります。
一部の宝石種には、内部に髪の毛のような長くて細いたくさんの繊維状、針状、極細の管状の内包物を含んでおり、それらに一様に光が当たると、その方向に90°の角度で光沢が出ます。
それがキャッツ・アイ、猫の目のように細い光の筋に見える。
ではスターはどうか。
同じことです。
キャッツ・アイは一方方向に並んだ繊維でしたが、スターの場合は、*のように3方向に交差しながら、しかしやはりたくさんの長い針状インクルージョンが並んでいるところに光が当たると、*のそれぞれの方向の90°の角度で光沢する。
それが、スターです。
じゃあそのインクルージョンの正体は何かというと、結晶だったり液体だったり気体を含んだ管だったりと様々です。
鉱物学という、科学です。
6月、ムーンストーン
Stress Crack in Moonstone
6月ですね!
早い。
もう今年が半分過ぎようとしています。
この間お正月だった気がする。
というセリフを、もしくは似たようなセリフを、毎年何度も何かしら呟いている。
ムーンストーンという名前、素敵ですよね。
鉱物名としてはフェルスパーという石になります。
白色や橙色、ピンク色、灰色など、割とカラーも多いです。
共通して言えるのは、ぽや〜っとした柔らかい光り方をすること。
白色〜青白色の、しばしばキャッツ・アイのように筋になった光が見られます。
兄弟石に、ラブラドライトやアンデシン、アマゾナイトなどがありますが、名前と対になるものは「サンストーン」でしょうか。
橙色や赤色のレピドクロサイトや銅の小さな板状破片がたくさん内包されており、キラキラと眩しい石です。
月と日。
白い輝きのムーンストーンと赤く光るサンストーン。
誰が名付けたか知りませんが、きっとロマンチストな人に間違いない。
オパール原石
ミニ鉱物も販売しています(^^)
一部のマニアな大人様らや好奇心旺盛なお子様らに人気です。
整理しきれていない在庫石の中にオパールがありました。
詳細メモってなかったせいで、産地を忘れました…。
こういうことがしばしばあります。
とにもかくにも、
よくよく見ていたらなんだか水の中みたいだなぁって思ったので、写真を撮りました。
一見なんてことないものに見えても、じっくり見てみたら面白い発見があるのが鉱物です(^^)
LONDON BLUE
London Blue Topaz
SV925 ring
ロンドン・ブルー。
すごく好きな色です。
トパーズにはスイス・ブルー、ロンドン・ブルーと、都市の名前がついたブルーがありますが、これはその街のイメージなのです。
スイスは、アルプスの山の向こうに見える澄み切った空のブルー。
ロンドンは、曇り空も多い石畳のストリートが似合う暗めの空のブルー。
日本で言えば、穏やかな海と暑い砂浜が似合う太平洋と、荒波打ち付ける岸壁がそびえる日本海のイメージ。
あくまでイメージですけど!
青い空が綺麗な日本海もありますし!
石を埋めてトップとツラになるようにしようかとも思ったのですが、あんまり大きい石じゃないから埋めてしまうと見える面積が減るので、上から爪留めでたっぷり顔を出すようにしました。
数年前に似たイメージで、フローライト・イン・クォーツとK18でリングを作ったことがあるのですが、あのイメージが忘れられず、いつかそのイメージで一つのラインナップを作りたいと思っていました。
その皮切りに。
また良さげな石で作ります(^^)
5月ですね
Emerald Two-phase and Calcite inclusion
5月です。
早いですね。
昨日石橋文化センターのバラフェアに出店していたら、前回も来てくれた小学生の女の子がまた来てくれまして。
石が大好きな子なんですね。
なんやかんや話してたら、アクアマリンとエメラルドは一緒の石なんだよ!とドヤ顔で話してくれました(^^)
よく知ってるねー!と盛り上がった次第です。
一生懸命話す姿が、なんとも可愛ええなぁと。
というわけで、エメラルドはアクアマリンと一緒の石で、鉱物名をベリルと言います。
クロムによる緑色のものをエメラルド、鉄による淡青色のものをアクアマリンと言います。
ちなみに無色はゴシェナイト、鉄による黄色のものはヘリオドール、マンガンによるピンク色のものをモルガナイトと言います。
科学ですね!
4月ですね
Diamond
Trigon grain lines on surface
4月ですね!
桜も少しずつ散り始めて、ちょっとだけ淋しくもあります。
ダイヤモンドの原石の表面には、しばしば三角形の模様が見られる時があります。
これは、ダイヤモンドが大きくなるときの痕跡、つまり成長線です。
年輪みたいなものでしょうか。
ダイヤモンドは鉱物学において結晶系は等軸晶系、結晶系は立方体、正八面体、十二面体などで産出されますが、特に見られるのが正八面体。
ピラミッドが上下にくっついているような形です。
正八面体を構成している八面は全部三角形でして、この三角形の面上に見られる逆三角形の模様がその成長線。
成長線なので、三角形は少し凸凹してます。
これをまだ採掘せずにもう何百年寝かせてたら、その凸凹は埋まってまた別の場所に三角形模様が現れていたかもしれない…と妄想が膨らみます。
カットされてこれでもか!と輝くダイヤモンドも素晴らしいと思いますが、やはりこういう自然な姿も魅かれるものがあります(^^)
2022 Gemstone Original Calendar
https://akj.thebase.in/items/54174818
ロンドン・ブルー
London Blue Topaz 1.87ct
SV925 ring
ナイジェリア産ロンドン・ブルー・トパーズ。
細身のリングがよいということで、こんな感じ(^^)
ブルー・トパーズの中ではこの色が一番好きです。
着物の色とかにありそうな深い青色!
ロンドン・ブルーの在庫が少なくなってきたので、またそろそろ仕入れようかな( ^ω^ )
デマントイド・ガーネット
Webサイトを作り直していく間、もう…これでもかー!というくらいパンパンになっていた写真などのバックアップデータの整理も並行してやっています。
そしたら、埋もれていた過去の商品や展示会風景、宝石などの写真のオリジナルデータが掘り起こされて…嬉しいやら恥ずかしいやら。
しかしインクルージョンの写真が出てきたことはとても嬉しいです!
なぜなら、保存の仕方が悪くて、今あるデータがオリジナルより低画質になってしまっていたからです…。
こういうのがあるからバックアップって大事ですよね…。
だがしかし。
今のデータ容量はとても大きすぎる。
10年前にデータ、そこそこいい一眼レフで撮っても2MBとか1.8MBとかくらいだったものが、今や6MBとか7MBとか。
先日1TBのSSD買って、これでしばらく大丈夫〜♪と思っていたら、早1/3くらい埋まったんですけど…。
自分レベルでこれですから、もっとデータ扱うお仕事の方はどうされているんですか?
10TBとか装備してるんですか?
それともスーパーコンピューター??
そんなこんなで、デマントイド・ガーネットのホース・テール・インクルージョンです(^^)
名前の如く、馬の尻尾状のインクルージョンですが、写真のそれは少しイレギュラー編です。
もともと、細く湾曲した線が一点から放射線状に無数に広がるものなのですが、今回のはその1本1本がバラけています。
こういう場合もあります(^^)
来年もインクルージョンカレンダーが出せるようにたくさん撮っていこうと思います!
(需要があれば…)