石留め

石留めは基本最後です。
全ての研磨工程を終えてピカピカにし終わった後、やっとこさ石をセッティングしていきます。

これがまたダントツ緊張する作業のひとつで。
しかも替えが効かない預かり石やレアストーンなんかだと、もうドキドキしちゃって。
そんな時は今ならやれる!みたいな精神状態が整った時にするようにしています。

慌ただしくて考え事が多かったり、集中力が途切れがちだったり、他に気になるオーダーがあるときなんかは避けます。
失敗率上がるし、留めれたとしても納得いく仕上がりにならなかったり。

失敗とは、石の破損ももちろんですが、綺麗に仕上がって納得いく出来になること以外全部です。

留めている最中は、石の耐久性ももちろん考えながらしますが、最終的に出来上がるまでにリカバリーできるかも考えながら作業します。

あんまりあってはならないことですが、石の順番を間違って留めてたり向きが間違ってたり…などの時に、途中でもやり直しができるか、⌘Zを行えるかどうか。
なのでちょっとずつ、ちょっとずつ、慎重に…。

あと、もし万が一、完成して納品した後にサイズ直しや、その他の修理やリフォームなどが必要な際に、破損せずに石を取り出せるか。
もちろん取り出せなくなるセッティングの仕方も多いです。
埋め込んでしまうと難しくなります。
その際は金属部分にノコを入れたりしないといけないので、完全作り直し、または石の破損のリスクも上がります。
しかしなるだけアフターフォローやその後のケアもできる限り可能な状態で仕上げたい、というのが自分の心情です。

作って売ったら売りっぱなし、作った本人がフォローできない、なんてあってはならないと思うからです。

ちょっと真面目な話になってもーた。

とある彫金屋の日常-展示会編-6-

今年は何度となく大阪に赴いておりますが、梅田は1年ぶりです。

そして今年も、ダンジョンにて迷う。

来る度来る度様子が違うんだもの!
必ずどっかで工事してて、なんか景色が変わってるんだもの!

変わってなくても、ここは毎日通ってないと覚えられん。
帰りと行きでお店が開いていたり閉まっていたりするとまた違うんだもの。

とある彫金屋の日常-16-

癖なのです。
しかし、もしかしたら私だけの癖ではないかもしれないのです。

ヤスリ、糸ノコ、時々真鍮ブラシ。

すり板をカンカンしてます。
多分、作業中の、工具を変える時、研磨中のパーツを持ち帰る時、ちゃんと磨けているかルーペに持ち替えて確認する時、とにかくそこで今の手の動きが一旦止まる時に、カンっ!とします。

上方落語でいう場面が変わる時にカン!ってするあれみたいなもんでしょうか。

まぁ、削り粉をすり板から落とすための行動なのですが、そんな粉やゴミがない時でもしてしまうのが、もう癖化している証拠でしょうか。

作業がのっていて集中している時、リューターのハンドピースでもそれをしてしまいそうになる時があります。
そういう時に限って、普通のスチールバーの4倍くらい高い超硬バーを装着している時だったりして、めっちゃ寸前で思いとどまります。
もうそれでカン!とかしちゃったら、私のお気に入りのBusch超硬カッターNo.23SR0.8mの先端が簡単に飛びます。

恐ろしい…。
そして寸前で止まれる私のケチさも恐ろしい…。