とある彫金屋の日常-11-

すんなりいくやつはいく。
いかないやつはとことんいかない。

ミスをする→やり直す→ミスをする→ちょっとイラッとする→やり直す→ミスをする→またイラっとする→やり直す→ちょっと雑になる→ちょっと嫌なミスをする→だいぶイラッとする→かなり雑になる→取り返しのつかないことになる

この悪循環を断ち切るためには、まず、精神を落ち着けることが大事である。

イラッとする前に、

あ、これはなんか嫌な流れになるパターンのやつじゃない?
なんか落ち着いた方が良くない?
冷静に見極めるんだ。
これはこれでいいのか?
もう少し上手いやり方があるんじゃないのか?
もっとリスク回避を考えるんだ。
もしかしたらここをこうしないと、こういうミスも起こりうるんではないのか?

と、ゆっくり考えるのです。

この間大体2〜3秒くらいです。
それくらいの思考でも、悪循環は断ち切れるのです。

そんな彫金の作業、それがロウ付。

そんなこともある

金属同士をくっつけるロウ付には、ロウ材を使います。

銀には銀ロウ、金には金ロウ、プラチナにはプラチナロウを使います。
自分は真鍮にも銀ロウを使いますが。

ロウ材はほとんどの場合板状で売られていますので、それを好みの大きさで切って(と言っても大抵小さな短冊状)ストックしときます。
自分は、金とプラチナの場合無くすと嫌なのでその都度必要な分切り出してますが。

銀ロウに関して言いますと、種類が6種類ほどあります。
名称を、2分ロウ、3分ロウ、5、7、9、早ロウ。
違いは銀の含有率と溶ける温度です。
2分が一番融点が高く約820度、早ロウが一番低く約620度。

2分や3分と言わず、Ag750など含有率で表示しているロウ材もあります。
メーカーや国によって違います。
使い方は同じですが。

そんなロウ材をこぼしてしまうと…そりゃ大惨事です。

静かに椅子から立ち、静かに床にこぼし、静かに箒で集めます。
しかし床の埃まで取れてしまうので、なんだか悲しくなります…。

そんな午後。

掃除大事

ワークスペースは大事です。

特に火処は各種ピンセットやらロウ材やらフラックスやらで、いつの間にかわちゃわちゃになる傾向があります、私の場合。

ロウ材も針金も黒炭やセラミックのかけらも片付けて、定期的に掃除します。

そしたらこんなに綺麗に!( ´ ▽ ` )
気持ちいいです。
なんだか作業が1.5倍くらい捗る気がします。
2倍とは言わない。

と、偉そうに言ってますが、まぁまぁ大変なことになるくらいまでならないと掃除しないんですけどね。
いつも後回しになっちゃってね。

これはつまり、自分への戒め投稿です(・・)