とある彫金屋の日常-47-

そこまで工具の種類を持っているわけではありませんが、研磨に関わるものは結構多いです。
と言っても、どんなもんやろ?と試しに買ってみたものの、よく分からんな!とあんまり使わず放置しているものも多々。
結局好みのものや慣れたものばかり使うようになる…。

研磨のことに限らず。

どんな工具を使おうと、結局は基本。
工具の種類の数は便利を増やすことであって。

基本や理屈が全てではありませんが、それを知っていればどうすればいいかを考えることができるし、考え方の方向性を決めることができます。

基本、大事やなと最近特に感じます。

石留め

石留めは基本最後です。
全ての研磨工程を終えてピカピカにし終わった後、やっとこさ石をセッティングしていきます。

これがまたダントツ緊張する作業のひとつで。
しかも替えが効かない預かり石やレアストーンなんかだと、もうドキドキしちゃって。
そんな時は今ならやれる!みたいな精神状態が整った時にするようにしています。

慌ただしくて考え事が多かったり、集中力が途切れがちだったり、他に気になるオーダーがあるときなんかは避けます。
失敗率上がるし、留めれたとしても納得いく仕上がりにならなかったり。

失敗とは、石の破損ももちろんですが、綺麗に仕上がって納得いく出来になること以外全部です。

留めている最中は、石の耐久性ももちろん考えながらしますが、最終的に出来上がるまでにリカバリーできるかも考えながら作業します。

あんまりあってはならないことですが、石の順番を間違って留めてたり向きが間違ってたり…などの時に、途中でもやり直しができるか、⌘Zを行えるかどうか。
なのでちょっとずつ、ちょっとずつ、慎重に…。

あと、もし万が一、完成して納品した後にサイズ直しや、その他の修理やリフォームなどが必要な際に、破損せずに石を取り出せるか。
もちろん取り出せなくなるセッティングの仕方も多いです。
埋め込んでしまうと難しくなります。
その際は金属部分にノコを入れたりしないといけないので、完全作り直し、または石の破損のリスクも上がります。
しかしなるだけアフターフォローやその後のケアもできる限り可能な状態で仕上げたい、というのが自分の心情です。

作って売ったら売りっぱなし、作った本人がフォローできない、なんてあってはならないと思うからです。

ちょっと真面目な話になってもーた。