とある彫金屋の日常-8-

「音がしない」

それもひとつの手がかりである。

音がしなさそうに落ちた、というだけで探す場所を限定できる。

マット、タオルなどの何か柔らかいものの上、洋服の上、スリッパの上や中、ハンマーを入れているカゴの中、どこかシンデレラフィットするような隙間…

過去には、エプロンやズボンのポッケの中やTシャツの中、ゴミ箱にイン、そもそもたいして飛んでいかずに机にある…などがありました。

これしかもう在庫がない!という時や、失うには損失が大きすぎる!という時はなかなか見つからなくても必死で探しますが、作った方が早い!という時やまだ替えはいくらでもある!という時は探すことを放棄し、前を向いて進み始めます。

そしていつか出てくるのを待っています。

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